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高山病の防ぎ方と対処法

安全登山のためには、十分に時間を掛けて、高所順応をしながら登ることが大切です。
順応力を超えた速さで登ると、高山病になります。(病気というより環境によって生じる障害なので、高度障害という呼び方を私はしています。)

●高山病の症状
息が苦しい、頭痛、吐き気、眠気、ぼーっとする、むくみ、咳、などが代表的なものです。
唇が紫色になるなど、酸欠の症状がはっきり出ているときは、頑張らずに高度を下げましょう。むくんでいるときは循環器系の機能が落ちている証拠です。ヒマラヤではお地蔵さんのように顔がまん丸く、目が細くなった隊員もいます。富士山ではそこまでの人はあまり見ませんが。

高山病は標高を下げれば回復します。ヒマラヤなどの高所登山では、まっすぐに登ることはありません。登ったら降りる。それを繰り返し、体を徐々に慣らしながら高く上がっていくのです。チョモランマの頂上まで無酸素で登るほど、人間の順応能力は素晴らしい可能性を秘めていますが、い運動不足の日常からいきなり富士山に挑むのなら、半年くらいの準備期間があっても良いと思います。駅の階段を上るだけで息が切れるようでは、少々心細いですよ。

●眠気
眠気も酸欠の症状の一つ。ですが寝不足や疲れでも眠くなります。普通の眠気は登山道で昼寝を30分もすれば、かなり回復しますが、酸欠の眠気は横になって眠ろうとするのは良い方法とは言えません。呼吸がさらに小さくなって、酸欠は回復しないからです。呼吸し続けることが大切。ゆっくりゆっくりと歩きましょう。

●呼吸
呼吸のコツは、吐き切ること。肺を空にするつもりで息を吐くと、空気はたくさん入ってきます。
息を吸おうと意識すると、吐ききらないうちに息を吸ってしまうので、少ししか入りません。浅く速い呼吸になっているときは気を落ち着かせて、ゆっくり深い呼吸を心掛けましょう。

●脱水症状
高山病の原因の一つに脱水症状があります。トイレの心配があるからといって、水を控えるのは危険です。富士登山中には日陰がありません。晴れた日には5合目から八合目に登るだけで2リットル飲んでしまうこともあります。2リットルの水は重いので、500mlのペットボトルを2本持ち、途中の小屋で補給するのが上策です。

●吐き気
山小屋について食欲がないときは、無理に食べなくて良いでしょう。胃が受け付けないときに無理して食べると、お腹にもたれて、戻してしまうこともあります。エネルギーになりやすい甘いものを少々口にする程度にしておきましょう。

●食事は少なめが無難
元気でお腹が減っていても、お腹いっぱいは食べません。腹6分目にとどめます。酸素が少ない分、消化力が落ちています。そのうえ、山小屋の就寝時間は18時から19時。消化する時間的余裕がないまま布団にはいることになります。ですから、胃に自信がある方でも、少なめにしておきましょう。

●行動食
一度に多くの夕食を食べないようにするには、休憩中にまめに補給しておくことが効果的です。時間を取って昼ご飯にするのではなく、休憩の旅に栄養とカロリーを補給することで、お腹ぺこぺこを予防します。

●アルコール
ようやく小屋に着いたときのビール、山頂に着いたときの一杯、楽しみですね。ですが、山頂は酸素が地上の3分の2しかありません。その分アルコールは回ります。安全登山のためには、いつもの調子ではなく、抑えめにしておくことを忘れないで下さい。

●前日までに
風邪は大敵。軽い咳でも呼吸にも負荷がかかります。